廃墟を探そう。
そう思い立った時にこのご時世非常に便利なサイトがある。界隈にいる方々にとっては名前を出すまでもない、某地図の事だ。
掲載されている物件は数知れず、私も度々お世話になっているが、果たしてこれが全ての廃墟をマークしているかといったら答えは否。廃屋をはじめ、小さな物件は見逃されがちだ。
今回はそのうちの一つ、現役時代にむしろ名を馳せた温泉旅館の話である。
2019年4月30日、平成が終わるその日に私は雨に打たれていた。廃墟に行くからと荷物を減らしたら、傘を家に忘れたのである。つめてェと文句をたれながら道を歩き竹藪を漕ぎ、
着いたのがココ。目的の物件の裏側。
正面は現役の民家に面しているため、リスクを考えたらまだ草木を突っ切る方が安全という。
回ってみると都合よく空いている出窓があったのでそこから入館。
(物件の名前の写り込みによりモザイク加工)
出たのは大広間だった。
見た目こそ普通の大広間だが、この物件の現役時代のエピソードを知っていると、当時のことが思われて複雑な気持ちになる。
大広間横の廊下。外の雨の音がよく聞こえた。
廊下を抜けた先、正面エントランスと大浴場をつなぐ廊下。小さい割に複雑な物件だ。
エントランス付近、上の写真にも写っているタバコの自動販売機。こんなマイナー物件にも泥棒は入る。DQNかもしれない。
玄関部分に行こうとしたらこれだった。
行けないこともなかったが、万が一も考えて引き返す。メインはあくまで大浴場だ。
木の看板の提げられた通路。ここを過ぎればもう風呂に着く。
大浴場。この物件の目玉であり、現役時代の
ここを有名たらしめた施設である。
当時は緑鮮やかであっただろう植栽は僅かな花を残して枯れて、豊かな湯を湛えた浴槽には枯葉が溜まり。
廃墟化した温泉はここに侘しさを感じられる。
ちなみにここに入った瞬間植栽が揺れ、身構えた瞬間にタヌキが飛び出してきた。
驚かせてしまったのだろう。悪いことをした。
奥から手前側への視点。驚いた事に、白く塗りつぶされた窓の奥が女性用の浴場だ。
中の様子。男尊女卑をそのまま風呂にしたような広さの差だが、察しのいい方はこの施設がどのような物だったかそろそろ理解して頂けているかもしれない。明確な答えは言わないが。
カランには当時のものがそのまま残る。中身を確かめる気にはならなかった。
ここが女湯への入口。お手製の「女」の文字がなんとも。
大浴場を後にして、宿泊施設を有する2階へ上がる階段を探す。
施設の中を歩く。便器を撮る。
風通しがいいから臭いは何も感じない。
2階への階段を見つけた。しかしその写真を撮っていないミス。鬼怒川で何を学んできたのか。
客室を廊下から。静けさが心地いい。
この客室に入る。1部だけ切り取れば、まるで現役の佇まいだ。枯葉が落ちてるけど。
物置部屋も客室のすぐ側にあった。天井の崩壊が激しい。今年の台風でどうなったか。
そんな物置部屋の入口に人形が転がされていた。いつ倒れてしまったのだろう。その姿勢も苦しかろうに。
角部屋はシーツなどを干す部屋に使われていた。窓が多いため日がよく差し込む。
2階を撮った最後の写真がこれ。見返したら全然撮っていない。
ここから復路を辿り、施設の外へ出た。相変わらずの雨。帰りにコンビニで傘を買っていった。
本題終わり。以下結び。
しかし今この文章を打ちながら見てみると、残留物が少ない物件であるように思う。しかし可能性として行くのを諦めた先、エントランスに書類などはまとまっているのかもしれないから、ここもつまり再訪予定地である。私の廃墟探訪、そればっか。